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抗生物質は有益な細菌もやっつけるので飲まないほうが良い!

抗生物質は飲まないほうがいい
世界共通の傾向ですが、どんな抗生物質にも効かない細菌が出現したというような話題がしばしばメディアをにぎわせているせいもあり、抗生物質の濫用は一昔前に比べると少なくなる傾向にあります。

それでも相対的には、まだまだ日本はほかの先進国に比べると抗生物質が大好きな国のようです。

薬がであることは、人類の「救世主」たる抗生物質でも例外ではありません。

ひところ、およそ1970年代から1980年代なかばにかけて、日本は、抗生物質の生産量、消費量ともに世界1位ということがありました。

さすがに今は、生産量、消費量ともに1位は中国に讓っていますが、それでもまだまだ、日本人の抗生物質の消費量は半端ではありません。
抗生物質は、言ってみれば人類の「救世主」です。

人類の歴史は感染症(伝染病)との闘い、つまり細菌など微生物との闘いでもありました。ペスト、梅毒、結核、肺炎…など細菌が生み出す病気は、かつて膨大な数の人命を奪ってきたのです。

しかし今や、どれも死病ではなくなりました。それが抗生物質のおかげであることは、言うまでもありません。抗生物質の発見は、人類の歴史を根底から変えたと言っても過言ではないと思います。

ところが、この抗生物質にしても、ほかの薬同様、ありがたいことばかりではないのです。抗生物質を多用したことが、逆にもっと強い菌、つまり切り札である抗生物質の効かない菌を生み出し、人類の脅威となっているからです。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)…などなど、そうしたやっかいな菌は、あげるときりがありません。

これらの菌は、私たちが抗生物質を使えば使うほど増えていきます。
それもそのはずです。抗生物質が効く素直な菌から順番に淘汰されていくわけですから、抗生物質が効かない菌があとに残り、どんどん増えていくことは当然の成り行きなのです。

さらに抗生物質が恐ろしいのは、非常に「効きがいい」あまり、体内に必要な菌まで殺してしまうことです。その証拠に、抗生物質を飲むと、お腹の調子が悪くなることがよくあると思います。それは、腸内細菌も殺されてしまっているからなのです。

先ほど、人類の歴史は微生物との闘いだったと言いましたが、その一方で人類は、いろいろな微生物の恩恵を受けてきました。

とくに腸内は、そんな恩恵をもたらす微生物が数多く共生している場所です。その数は100兆にものぼると言われています。そもそも、私たち人類の歴史はたかだか4~500万年、いっぽう細菌などの微生物の歴史は数億年余りにもなります。

たかが抗生物質を発見したくらいで、細菌との闘いに勝利した気になってしまったのは、人類のおごりと言わざるを得ません。

そう考えると、抗生物質の効かない菌の登場は、さながら「微生物の逆襲」。彼らが、地球の新参者である人類を鼻で笑っているようにも思えてくるのです。

昨今では、いろいろな細菌に同時に効く抗生物質がもてはやされています。となればそのような抗生物質を飲めば飲むほど、さまざまな菌が共生している腸内環境はずたずたに荒らされ、抗生物質の効かない菌がどんどん増えていきます。

そして、個人レベルでは免疫力(自己治癒力)がみるみる低下し、社会レベルでは抗生物質の効かない菌がますますまん延するという事態を引き起こします。結局のところ、私たちは自分で自分の首をしめているというわけです。

人類の救世主、抗生物質と言えども、やはり多用していいことは何もない。それどころか大きな害になる。
「薬は毒である」という事実は、ここでも変わりません。


死因(2011年)を多い順に並べると、1位がん、2位心臓病、3位肺炎となっていますが、老人ホームでの死因の1位は肺炎です。

「肺炎なんか命を落とす病気じゃないのでは?抗生物質で簡単に治るじゃないか」と思うかもしれませんが、それは若くて元気な人の話であって、お年寄りの場合には通用しないのです。

ちなみに死因3位の肺炎ですが、その95%が65歳以上の方なのですから、やはりお年寄りにとって肺炎は、とてもおそろしい病気ということになります。

お年寄りは、若い人たちに比べれば免疫力が低下していますし、ものを飲み込む機能も低下していて、食べたものが気管や肺のなかに入ってしまう(誤嚥)こともあり肺炎になりやすいのですが、さらにやっかいな点もあります。それは抗生物質が効きにくい細菌が多くなっていることです。

そんな細菌が体力の弱ったお年寄りたちを襲うことになるのです。抗生物質は大きく分けると2つの種類があります。

1つは狭域抗生物質と呼ばれ、ある特定の細菌にしか効かないものです。もう1つは広域抗生物質と呼ばれ、さまざまな細菌にも効くものです。

一見すると、多くの種類の細菌に効果が期待できる後者のほうが、病原菌の種類を知らなくても容易に治療できるので、優れていると思ってしまうかもしれません。

たしかに広域抗生物質は治療者として処方する場合には便利で、患者さんにとってもあたりはずれが少なくて、メリットが大きそうです。

また、病原菌を決め打ちして狭域抗生物質を出したものの、もしはずれていれば、誤診じゃないのかと文句の1つもいわれるかもしれないので、無難に広域抗生物質を出しておこうという気持ちになるのも理解できなくはありません。

それもあってか、いまクリニックや病院など、外来診療で処方される抗生物質のほとんどは広域抗生物質なのです。

ただ一般的には、狭域抗生物質に比べると、広域抗生物質は効果も大きいぶんだけ副作用も大きく、抗生物質に効かなくなる耐性菌を生み出す危険性が高いのです。

耐性菌を生み出す危険性が高いということは、抗生物質に効かない細菌がどんどん増えていくことを意味します。

そうすると、よりいっそう強くなった細菌たちが私たちのまわりに広まっていくわけですから、先ほど触れたように、体力が弱ってしまったお年寄りたちの感染症、特に肺炎がおそろしい病気となってしまうのです。

さらに、非常に重要なことなのですが、この強力な広域抗生物質を使うと、病気の原因細菌だけではなく、病原細菌を抑える働きをしている有益な細菌たちも同時にやっつけてしまうのです。

一方で狭域抗生物質は、原因と目される特定の細菌をやっつける能力しかありませんので、ほかの有益な細菌までやっつけてしまうことはほとんどありません。

同じ抗生物質でも狭域と広域では、その影響力がまったく異なるという点を知っておいて損はないと思います。

もちろん薬にはすべて副作用がありますので、飲まないに越したことはありませんが、特に広域抗生物質は、極力控えるほうが身のためです。

ところで、マイクロバイオームという言葉をご存知ですか?
私たちの体には、自身の細胞の数の10倍にも及ぶ膨大な数の細菌たちが同居しています。彼らは単に私たちの体に寄生しているのではなく、ちゃんと私たちの細胞とネットワークを作っているのです。

つまり双方向にやりとりをしていることがわかってきたのです。そしてこのネットワークのことをマイクロバイオームと呼ぶことにしているのです。

腸内にも100種類、300兆個ほどの細菌がすんでいるといわれていますが(腸内細菌)、彼らは単なる居候ではなく、私たちの健康に有用な役割をはたしていることがわかってきました。

この細菌たちは、消化吸収を助けてくれたり、私たちが自分で作ることができない栄養素を作ってくれたり(たとえばビタミンB2、ビタミンB12、葉酸など)、健康を維持する免疫反応を巧みにコントロールしてくれたりしています。そして先ほど触れたように、病原となる悪い細菌がむやみに侵入してこないようにと幅を利かせてくれているのです。

また、この細菌たちは、人間の神経系と相互に作用する可能性のある化合物を作っていることも明らかになってきました。つまり感情や性格などを微妙に変えているのではないかといわれています。

腸内細菌が、記憶や学習に関係する脳の発達に影響しているともいわれています。いくつかのタイプの抑うつ状態を治療するのにも、細菌の挙動が大きく影響していることもわかり始めているのです。

ところが残念なことに、昨今のストレス過多のライフスタイル、あるいは広域抗生物質の多用によって、こうした有用な細菌たちがだんだんと減る傾向にあります。

その結果、さまざまな病気、自己免疫疾患や肥満、そしてうつやがんなどが増加しているのでは、とも指摘されています。

つまり広域抗生物質は、私たちの健康維持にとってとても大切な腸内環境、つまりマイクロバイオームを壊してしまうのです。マィクロバイオームが壊れてしまうと、元気で長生きするのに、大きなハンディとなってしまいます。