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薬は健康障害の異常や原因を知ることで開発できる

ホメオスタシス(生体の恒常性)

ヒトを含めた生物は、外部環境と密接なかかわりを持ちながら、自分自身の内部の化学的・物理的環境をほぼ一定の範囲内に保ち、生命を維持しようとします。このことを「ホメオスタシス(生体の恒常性)」といい、19世紀の生理学者C ・ベルナールが「生命現象はいろいろな姿で現れるが、結局は内部環境の恒常性を保つという唯一の目的しか持っていない」と述べたことに基づいて、20世紀前半にアメリカの生理学者W ・B ・キャノンが提唱した概念です。

しかし、外部環境の変化があまりにも過酷であれば、私たちの体には何らかの健康障害(すなわち病気)が生じます。また、私たちの体のホメオスタシスを維持する機構に何らかの異常が起こった場合にも健康障害が生じます。

たとえば、みなさんが毎日摂っている食事と血糖値(血液中のグルコース濃度)の調節の関係について考えてみましょう。血液中のグルコース(ブドウ糖)は、私たちの体にとって最も重要なエネルギー源(ガソリンのようなもの)です。通常の状態(食前)では、血糖値は血液1ミリリットルあたり1ミリグラム程度になるように維持されています。

ごはんを食べた後には、米の主成分のデンプン(グルコースが数百~数千個つながったもの)が、唾液に存在するアミラーゼなどの消化酵素の作用によりグルコースにまで分解され、グルコースは小腸から吸収されて血液中に入ります。当然、血糖値は上昇し、このグルコースが体中に運ばれてエネルギー源として利用されます。

しかし、すぐにはエネルギーとして使われない過剰のグルコースは、いろいろ姿を変えて私たちの体に貯えられます。まず、血糖値が高いのを感知した膵臓の中のランゲルハンス島と呼ばれる細胞集団にあるβ 細胞から、インスリンというホルモンが血液中に分泌されます。

インスリンは肝臓や筋肉、脂肪組織の細胞に働きかけて、グルコースを細胞内に取り込ませます。グルコースは、肝臓や筋肉の細胞内ではグリコーゲン(デンプンと同様にグルコースがつながったもの)に、脂肪細胞では中性脂肪に変換されて貯えられます(脂肪の摂り過ぎだけでなく、炭水化物を摂り過ぎてもお腹に脂肪は溜まってしまいます。ご用心)。

このようにして、血糖値は一定の範囲内に維持されるのです。まずは食事療法や運動療法が試みられ、それでも病状に改善が見られない場合には経口血糖降下薬、さらにそれでも改善されない場合にはインスリンによる治療が一般的に行われます。

このように、糖尿病の治療は、足りないもの(インスリン)を補うか、過剰なものを取り除こと、すなわち、過食を避け、肥満や運動不足などで溜まった中性脂肪を運動などで消費することにより行われます。このような治療ができるのは、糖尿病の原因がハッキリとわかっているからです。

このように、ある特定の病気に対する新しい薬を開発するには、まずその病気の発症メカニズムを知るのが先決です。「健康」と「病気」の違いを知ることですね。