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新薬開発は製薬会社のリスクがあるのでジェネリックの比重が高まっている

新薬開発リスクは宿命


画期的な大型新薬を開発することが、医薬品メーカーとしての生き残りの最大の要因であることはいうまでもない。あらゆる企業活動はそのためにこそある。企業規模が小さくてもブランドカがなくても、新薬一つですべてが一夜にして解決するというのが、医薬品業界の特徴なのだ。

しかし、現実的には大型新薬を出すことは容易ではない。
もともと開発そのものがハイリスクであることに加え、世界的に新薬の種となる候補物質が枯渇していること、特に大型新薬化する候補物質は乏しいこと、製品化されても副作用問題などが続発していることに対応して、行政側か従来より格段に審査が厳しくなっていること、などが理由だ。

医薬品の開発は現在では1万5622分の1となっている。
実際に製造承認を得る医薬品が一つあれば、残りの1万5621の候補物質は捨てられているのだ。

しかも、開発の初期段階で使えないと判断されれば影響は小さいが、治験に入った後期段階、最終段階まで進みながら開発を断念するということになれば、それまでかけたコストの回収もできず、収益計画も大幅に狂うなど、企業への影響は甚大になってくる。

最近でも、武田薬品が米国で開発中の高脂血症薬「TAK475」について、米国の食品医薬品局から追加治験の実施を求められ、早々にも見込んでいた承認申請を遅らせることとなった。二年程度遅れることになる。

2010年問題でもっとも深刻な影響を受けると見られる武田の、次の大型新薬と期待されていた高脂血症薬の承認延期は同社の計画に大きな狂いを生じさせることは必至。

同様にエーザイも世界初の経口AMPA受容体拮抗剤を目指して開発を進めている「E2007」について、07年度中に欧米で申請を予定していたパーキンソン病適応の申請時期を08年度末に遅らせると発表した。第一三共も同じだ。心臓病の治療などへの適用が期待されている大型新薬の抗血小板プラスグレルに関する二本の小規模臨床薬理試験(フェしスH )について、プロトコル(手順) の修正が終了し承認が得られるまで試験を延期すると発表した(ただし第一三共の場合は競合薬より薬効が優れているという結果も出ており、承認申請に期待は高言。

さらに大日本住友製薬も不安、うつ病の治療薬「AC5216」の国内での開発を中止している。
海外でも開発権を供与していたがこれも中止、フェーズH段階に入っていただけに影響は大きい。

アステラス製薬でもフェーズH段階の慢性腎疾患薬の治験中に被験者が劇症肝炎を発症して死亡したといわれ、治験の推移に影響を与えかねない。いずれも予定していなかった突発的なリスクだったという点にリスク管理の難しさがある。他にも期待の新薬が副作用問題などで開発中止に追い込まれたケースは世界の医薬品メーカーで数多くあり、パイプラインの枯渇と重ねて、開発型企業の宿命とはいえ、大型新薬の開発は常にリスクを抱えているということだ。

新薬を開発するよりははるかに経営的な負担が軽い

売り上げ数百億円規模以上の中堅クラスの医薬品メーカーには、これまで述べてきたような様々な選択肢がある。しかし、それ以下の小さな医薬品メーカーにはさほどの選択肢は残されていない。その残った選択肢がジェネリックメーカーだ。

ジェネリックを軽んじるわけではないが、新薬を自ら開発するよりははるかに経営的な負担が軽い。
開発期間も短くてすむし、開発コストも新薬ほどかからない。最先端の開発技術もハイレベルな研究者も必要とされない

すなわち、ジェネリックは新薬を開発できない小さな企業でも十分に手がけることができるわけだ。

ある意味、対症療法的だが、小さなメーカーが生き残るためには成長性の高いジェネリック分野を無視できないということだ。医薬品に限らず、市場というものは常に生きているし、流動する環境に対応するのが民間企業の生き残る道。とすれば、新薬メーカーの立場を捨てて、ジェネリック専業に変貌する、あるいは新薬とジェネリックの双方を手がけ、徐々に比重をジェネリックにシフトしていく、というような企業の形態が生まれていくことは十分考えられる。

市場はジェネリックヘの流れが加速している。そこへ対応しないのは、経営者の怠慢といっても過言ではない。
しかも、行政はジェネリック承認までの期間短縮も考えており、いずれは欧米並みに先発薬の特許が切れたと同時にジェネリックを投入できるようになり、タイムラグも縮小するだろう。

こうした流れに対応するように、大手クラスのエーザイもエルメッドエーザイという別会社でジェネリックを扱っているし、合併した田辺三菱製薬も、旧田辺の流れからジェネリックを扱うことを決めている。中堅のキョーリンもグループのキョーリンリメディオ(旧東洋ファルマー、キョーリンが買収したジェネリックメーカー)を通じて、約200品目のジェネリックの販売を行っているし、キョーリン本体でもジェネリックの開発、研究を手がける体制を作りつつある。
中堅以下の医薬品メーカーがジェネリックを扱わないというのは、自らの成長にふたをすることに他ならない。