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病気から人類を守る研究開発の最前線基地spring-8

研究開発の最前線基地spring-8

従来、X線結晶構造解析というのは、その威力はだれしも認めるが、実行するとなると非常に時間のかかるやっかいな手法だと思われてきました。

しかし、遺伝子工学やコンピュータの技術の発達、そしてシンクロトロン放射光の利用によって、X線結晶構造解析の適用範囲とスピードは驚異的に発展を遂げつつあります。

特に、第三世代と呼ばれる最新のシンクロトロン放射光施設の建設によって、これまでとはケタ違いに明るいX線の利用が可能になりました。兵庫県と岡山県の県境近く(西播磨地区) に、spring-8と呼ばれる大型放射光施設があります。

これは、世界に3ヵ所ある第三世代放射光施設の一つで、世界最高エネルギーの放射光を作り出すことができます。

山陽新幹線を相生駅で降り、spring-8行きのバスに乗ると、車通りの少ない田舎道をバスは山へと向かいます。暗いトンネルに入り「こんな山間の地に最新鋭の研究所が本当にあるのか」と不安が頂点に達したころ、バスはトンネルを抜け急に視界が開け、兵庫県立大学のキャンパスが見えてきます。気がつくと田舎道は知らぬ間にハイウェイのような道へと変貌しています。

しばらく進むと、きれいに整地された広い工業団地のような街並みに出くわします。そのハイウェイが大きくカーブしたところに超近代的な施設が鎮座しているのです。まるで、怪獣映画にでてくるウルトラ警備隊の基地のようです。その外見どおりspring-8は、病気から人類を守るための研究開発の最前線基地なのです。
spring-8では、日本中いや世界中から研究者が集まり、薬のターゲットタンパク質の姿をとらえようと、日夜研究を行っているのですから。

シンクロトロン放射光とは、蓄積リングと呼ばれる真空の円周をほぼ光速まで加速された電子(または陽電子)が進んでいるときに、円周から接線方向へと放出される電磁波のことです。spring-8の場合は、蓄積リングの一周が約1.4キロメートルほどあり、まるで山に冠をかぶせたような外観です。

その大型の蓄積リングから得られる高輝度のシンクロトロン放射光をX線源とすることにより、測定に必要な時間は遥かに短くなります。実験室で一枚当たり数十分かかっていた撮影が数秒で済んでしまうほどです。これにより、データ収集にかかる時間は、数日から1週間かかっていたものが、数時間で終了できるまでになりました。

それだけではありません。シンクロトロン放射光は波長が変えられるので、いろいろな波長X線を自在に結晶へと照射することができます。

多波長異常分散法と呼ばれる新しい方法が生まれました。この方法は、たった一個の結晶でも立体構造解析が完了できてしま革命的な方法なのです。このような解析スピードアップによって、新規のターゲットタンパク質が見つかれば(もちろん結晶になればですが)、その立体構造をすぐに解析できるようになりました。薬の設計では、ますます立体構造を利用しやすい環境が整いつつあるといえるでしょう。

シンクロトロン放射光施設には、研究者が世界中から測定に来ています。往復の旅行も大変です。そこで、最近では実験作業を自動化する取り組みもみられています。特殊なことが必要ないメニューどおりの実験であれば、結晶を宅配便で送りインターネットを介しての遠隔操作でX線測定実験を行うこともできるようになってきています。実験が終われば、すぐにインターネットを通じて結果が送られてくるわけです。