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大衆薬は利益率が低いうえに信頼と実績が必要なので外資メーカーが参入できない

統合企業も切り離す大衆薬部門のお荷物


要因は大衆薬分野においては、外資が積極的に日本市場を攻めてくるという動きが活発なわけではない。

国内の大衆薬に力を入れているのは、コンタック、ナイトール(睡眠改善剤)、プリーズライト(鼻孔拡張テープ)などのグラクソスミスクラインや、禁煙補助薬「二コチネル TS」などのノバルティスファーマ、またドイツのベーリンガーイングルハイムは子会社のエスエス製薬を大衆薬専業として展開している。

医療用医薬品メーカーの大手はむしろ、大衆薬部門を切り離す動きの方が活発で、国内ではアステラス製薬、外資ではファイザーがジョンソン& ジョンソンに大衆薬分野を売却、ブリストルマイヤーズスクイブも大衆薬部門を売却している。
こうしたところから、国内市場では外資は大衆薬分野では目立った動きはない。

業界ダントツの大正製薬をはじめ、武田薬品、ライオン、エスエス製薬、ロート製薬、興和新薬、佐藤製薬、第一三共ヘルスケア、久光製薬など、国内企業がずらりと並ぶ。エスエス製薬はベイリンガーの子会社ではあるが、もともとは国内の大衆薬に強い医薬品メーカーだった。戦略的に外資の傘下に入ったもので、ある意味国内メーカーといえなくもない。

というのは、大衆薬は消費者に直接販売するものだから、医薬品メーカーのブランドカや長きにわたる実績、信用力というものが重要になっているからだ。外資がいきなりやってきて、はいこれから大衆薬を皆さんに売ります、といって売れるものではない。それがどんなに効く薬であっても、効かない薬を長い間売り続けている国内メーカーにかなわないのだ。

大衆薬というのはきわめてドメスティック(国内的)な市場なのである。外国でいくら売れた薬でも日本で売れるとは限らない。日本で売るためには、日本の消費者に受け入れてもらえるようなやり方を取らねばならない。

その点はデータに基づけば感情を排して取引してもらえる医療用医薬品とはまったく違う販売ノウハウが必要になってくる。
知名度を高め、消費者に安心感を与えるために、商品ブランドを育成するわけだが、これがなかなか難しい。大量に広告宣伝をすれば知名度は高まるが、それも短期間では忘れられるだけでなく、ブランドを維持できない何かの事情があったのではないかと思われる逆効果。細く長く地道に商品ブランドを浸透させていくしかない。

しかも、医療用医薬品と比べると、大衆薬はどうしても利益率が薄い。30~50パーセントの利益率を取ることができる医療用に比べて、大衆薬はせいぜい20パーセント程度。それでも他の業界の製品よりは高い利益率なのだが、医薬品業界にとっては手間とコストばかりかかって儲からないお荷物と見られていた。

だから、武田など大手医薬品メーカーなどでは大衆薬をいわば企業全体の宣伝と位置づけている。
医薬品メーカーは社名を宣伝するのにもいろいろな制約があるため、大衆薬の宣伝に乗せて社名を売ることで、利益率の低い大衆薬部門を抱えている意味を見いたしているのだ。

それは巨大外資の攻勢に危機感を抱いて統合したアステラス製薬が自らの大衆薬部門の子会社ゼファーマを切り離して、ライバルの第一三共に売却したことにもつながる。
外資に対抗するためには新薬開発力など企業体力を高めねばならない。そのためにコストのかかる宣伝部門は見直さねばならない。すなわち大衆薬部門はもういらない、というわけだ。
国内メーカーでもそうなのだから、外資があえて参入するメリットは乏しい。