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世界の医薬品メーカーにとってシェア第2位を誇る日本市場は重要

世界の医薬品メーカーにとってシェア第2位を誇る日本市場は重要

世界の医薬品メーカーにとって日本市場はどう映っているか

日本の医薬品市場は7兆円の巨大市場。世界でも米国に次ぐ規模の市場を形成している。

そのうち病院などで処方される医療用医薬品が約6兆円と圧倒的な比率を占め、ドラッグストアなどで買える大衆薬(OTC =オーバーザカウンター=カウンター越しに誰でも買える薬という意味)の7000億円を大きく引き離している。

そのため、医薬品といえば、特に断りがない限り、医療用医薬品を指すものとする。

国内の主な医薬品市場は、高血圧治療薬が約9400億円、抗がん剤が約5400億円、抗生物質が約4900億円、抗潰瘍剤が3900億円、精神神経用剤が3300億円、以下、コレステロール低下剤、抗アレルギー剤、糖尿病治療薬、抗血小板剤、消炎鎮痛剤と続く(05年)。

高血圧や糖尿病など生活習慣病といわれる病気の治療薬が伸びているのが最近の特徴だ。

この巨大市場に向けて外資が襲いかかってくる。世界の医薬品市場は北米と欧州、そして日本が三大市場と言われ、市場シェアは北米が54%、欧州が24%、日本が15%。

ただ、単独の国ベースで言えば、米国はシェア51%と世界の半分を占め、ダントツであるほか、日本は欧州トップのドイツ、フランスの2倍規模の市場となっている。

こうした世界市場を視野に入れた医薬品メーカーは2000年以降、合併や統合を繰り返し、ひたすら巨大化の道を歩んできた。

世界トップのファイザーは483億ドルの売り上げ、1ドル115円換算すれば、実に5兆億円という想像もできないほどの巨大な売り上げを誇る(06年)。

以下軒並み売り上げ数兆円というところが並び、日本メーカーでは最大規模の武田薬品の1兆円クラスで世界ランク15位前後。彼我の規模の違いは圧倒的なのだ。

その巨体を維持するためにも、彼らはどん欲に売り上げの上がる市場を求めている。そのターゲットが日本市場なのだ。世界の医薬品メーカーにとって日本市場は欠かすことのできない重要な市場といえる。

これだけの規模の巨大外資が日本市場に本格的に取り組んでくれば、日本の医薬品メーカーはひとたまりもない、そうした危機感が医薬品業界には強い。


医薬品企業の種類
専業メーカーとは?
医薬品(主に医療用医薬品)のみを作って売っている企業は医薬
品専業メーカーになる。業界ピッグ4と呼ばれる武田薬品工業、第一三共、アステラス製薬、エーザイはいずれも専業メーカーである。

このうち、武田薬品工業、第一三共の前身である三共などは、化学製品や食料品などを扱っていた時期もあったが、現在は医療用医薬品に特化した事業を行っている。 また、ジェネリック医薬品を作っている沢井製薬や日医工、東和薬品なども専業メーカーに位置づけられる。


兼業メーカーとは?
もともと医薬品以外の製品を作って売っていたところで、新たに医薬品も作って売るようになった企業は医薬品兼業メーカーになる。たとえば、キリンビールはビールなどの飲料だけを製造している会社と思われているが、実は医薬品も作って売っている兼業メーカーである。古くは、ドイツの医薬品企業であるバイエル、ヘキスト(現セラニーズ)、BASFは、いずれも総合化学を主とする兼業メーカーであったが、現在は医薬品と総合化学を分離している。


一般用医薬品メーカーとは
主に大衆薬といわれる一般用医薬品を作って売っている企業が一般用医薬品メーカーである。大衆薬は病院ではなく、主に薬局などで売られ、TVコマーシャルなどでもよく目にする。パブロンやリポビタンDを作っている大正製薬、ハイチオールCやエスタックのエスエス製薬、新Vロートやメンソレータムのロート製薬などが代表的。武田薬品工業やアステラス製薬の前身である山之内製薬のような専業メーカーが大衆薬を作っていた時期もあるが、現在は作っていない


外資の侵攻で急展開、大手で始まっている大再編
圧倒的な体力を持つ外資が現実に日本市場に侵攻の動きを強めていることに国内医薬品メーカーは危機感を強め、新たな再編が必至の情勢になっている。

ただ本当に危機感を持っているのは業界トップ級の大手で、大型合併を繰り返しているのはその現れ。中堅以下はまだまだ危機感が足りない、というか、危機感を持っていてもどうすることもできない、というのが実情。

当然生き残り競争は激しくなり、勝ち組になるところも出てくれば、脱落するところも出てくるのだろう。

現段階では外資に危機感を抱いている大手が企業合併で規模を拡大して生き残りを図っている。

山之内製薬と藤沢薬品が合併してアステラス製薬、第一製薬と三共が合併して第三一共、大日本製薬と住友製薬が合併して大日本住友製薬、そして07年秋に三菱ウェルファーマと田辺製薬が合併して田辺三菱製薬が発足した。

国内だけで言えば大型合併だが、世界レベルでみればそのまま外資に対抗できる規模ではない。それでも進出してくる外資に対抗して国内市場を守らねばならない。

また、一般的に業界再編というのは大手から凖大手、中小に段階的に裾野が広がっていくもので、大手クラスが一段落したいまでは、次の段階として、中堅クラスでの大がかりな再編劇が繰り広げられることになるだろう。

現実に、ビール大手のキリンが協和発酵を買収した。
協和発酵も飲料、焼酎などのメーカーとして知られているから酒類メーカー同士の買収劇かと思われるかも知れないが、両社とも医薬品部門を収益の柱としており、医薬品メーカー同士の再編と見る方が正しい。

協和発酵の医薬品部門は売り上げ1600億円と医薬品専業メーカーに引けをとらないほどの規模。凖大手クラスといってもいい。

キリンビールの医薬品部門は売り上げ550億円程度で、グループの売り上げ1兆6000億円を超えるキリン内では小さな規模だが、利益率が20%台ときわめて高い。

医薬品部門は、キリンの今後の成長にとってきわめて重要な戦略部門として、強化拡充を進めて敵対的買収ではなく、お互い合意の上での友好的買収になるが、こうした動きが出てくることは、医薬品業界の大がかりな再編がまだ終わっておらず、大手から準大手、中堅へとシフトしていく段階にあることがわかる。

外資と国内メーカーの実力差
世界市場での外資の規模は圧倒的で、上位10社を見れば、
① ファイザー、450億8300万ドル
② グラクソスミスクライン、393億3500万ドル
③ サノフィアペンティス、374億6100万ドル
④ ノバルティス、294億9100万ドル
⑤ ロシュ、273億1600万ドル
⑥ アストラゼネカ、257億4100万ドル
⑦ ジョンソンアンドジョンソン 232億6700万ドル
⑧ メルク、221億2600万ドル
⑨ ワイス、168億8400万ドル
⑩ イーライリリー、148億1600万ドル
以上、医薬品部門売り上げ。

このように、売り上げ数兆円クラスがごろごろしている。以下、アムジェン、ブリストルマイヤーズスクイブ、アボットラボラトリーズ、ベーリンガーイングルハイム、バイエルと続き、ようやく15位に日本最大の武田薬品工業が顔を出す。

薬価基準制度で医薬品の価格は決まっている
医薬品の価格は薬価基準制度で決まる
医薬品の価格は、一般的な商品と違って製薬企業が自由に設定できるわけではありません。
薬価基準制度によって、医療保険から保険医療機関や保険薬局に支払われる際の医薬品の価格が定められています。

新医薬品は承認を受けたあと、薬価基準収載手続きを経て、中央社会保険医療協議会(中医協)で検討・承認され、薬価基準に収載されます。

新規収載医薬品
新医薬品の場合、次のような算定方式により決定します。類似薬がある場合は、「類似薬効比較方式」を基本とし、効能・効果、薬理作用および構造式の3点から類似すると考えられる既収載医薬品を比較対象薬として選びます。そして、1日通常最大用量による薬価比較を行ない、補正加算などを経て算定しています。
類似薬がない場合には、「原価計算方式」を用いて算定されます。

既収載医薬品
薬価基準に収載されたあと、医薬品卸による医療施設・薬局に対する医薬品の販売価格は変動しています。
医療施設や薬局に対する実際の販売価格(市場実勢価格)を調査(薬価調査)し、その結果にもとづき定期的(通常2年に1度)に薬価改定されています。

ジェネリック医薬品
新医薬品の特許期間が満了し、ジェネリック医薬品が初めて収載される場合、先発品薬価の7割で収載されます。その後、ジェネリック医薬品がすでに収載されている場合には、最低薬価の後発と同価格で収載されます。


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