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患者中心の医療の中でわかりやすい医薬品をめざすことが求められる

患者中心の医療の中でわかりやすい医薬品をめざすことが求められる

患者中心の医療の中でわかりやすい医薬品をめざすことが求められる
患者にとってわかりやすい医薬品をめざすことが求められる
医薬品を選ぶ立場にある医師や薬剤師と患者の間には、医薬品に対して情報の非対称性があります。

患者中心の医療の中で、医師や薬剤師が医薬品を選ぶことは、患者にできるだけ情報を開示し、難解な専門用語を使わず、わかりやすく説明することです。さらには、患者へ選択肢を提示し、患者の意思と判断を尊重することが必要です。

過去を振り返ると、「これを飲んでください」と渡された薬袋には用法用量のみが書かれているだけであり、医薬品のシート裏には記号と数字しか記載されておらず、手にした薬が何の薬かがわかりにくかったこともありました。
しかし現在では、保険薬局で医薬品を受け取ると薬剤師からくわしい説明をされ、一緒に医薬品の名称と写真と説明が記載された文書を渡されます。その文書には、どのような作用があって、どのような点に気をつけるかが書いてあるのです。

しかも、医薬品のシート裏には医薬品の製品名と簡単な注意まで記載されています。このように、「患者中心の医療の中では、患者中心の医薬品である」といっても過言ではありません。


インフォームド・コンセント
医療に携わる医師や薬剤師・看護師などは、患者に対して次のようなことを文書によって説明し、患者の納得。同意のうえで医療を行なわなければなりません。
・疾患名や病状、治療方法
・治療の上必要な検査や、使用する医薬品のリスク・副作用
・存在する治療方法などの選択肢
医療従事者と患者の関係は、「医療を施す」という上下のスタンスではなく、患者の横に寄り添う「医療のパートナー」なのです。もう一方で、患者にとっても医師や薬剤師に任せるのでなく、積極的に関心をもつことがインフォームド・コンセントの意義です。


患者アドボカシー
患者アドボカシーとは、患者の「権利を擁護する」「味方をする」「代弁する」という意味です。本来、患者は医療サービスを受けている「お客様」であり、良質な医療を受ける権利や選択の自由、自分が受ける治療や医薬品に対しての自己決定権などのたくさんの権利を有しています(リスボン宣言より)。

患者の持つ権利を擁護することが医師や薬剤師など、医療に携わる者の使命なので、日進月歩に進化する疾患の治療方法や医薬品に対して常に新しい情報を入手し、患者に提供し続けなければなりません。

医薬品業界従事者は患者の権利を擁護するための情報を公開。共有・提供することが求められています。



患者のQOLを向上させる創薬と育薬
現場の声が医薬品を改良する
創薬は「医薬品を開発するための基礎研究から医薬品として製造・販売されるまでのこと」をいい、育薬は「医薬品が医療施設で使われるようになってから、そこで得られた情報をもとにより安全な使い方の検討や、より使いやすくする改善が行なわれること」です。

医薬品はプロダクトライフサイクル(製品寿命)の長い製品であり、同じ医薬品であっても、さまざまな個人差(年齢、性別、症状など)のあるあまたの患者に使われます。使用している患者にとっては、一生使い続けなければならないものも存在します。

そのため、長い年月をかけて使い続けていると、他の医薬品と併用したり、量を変えて使う必要も出てきます。その結果、開発段階では発見できなかった副作用が出現することもあり、使いかたなどの改良点がわかってきます。

副作用の例ではありませんが、現場の声から改良された、CTなど検査に使われる造影剤を例に説明します。造影剤はガラスバイアルに入っていて、検査のたびにシリンジ(注射器)に移し替えてから血管に注入していました。

医療現場から「シリンジに移し替える際に汚染される可能性もあるし、ガラスバイアルの廃棄物も出るので、造影剤をあらかじめシリンジの中につめられないか」という意見が出て、造影剤のシリンジ製剤が開発されました。いまでは、他の医薬品でもシリンジ製剤を発売しています。


市販後にPMSで情報を収集する
製薬企業は常に医療施設からの情報を収集・分析したうえで、医薬品を提供しています。最近では、医薬品を使用している患者からの情報はたいへん貴重であり、製薬企業も必要としている傾向があります。

実際は直接聞くことはできないので、患者と日々接している医師や薬剤師を通じて収集しています。医師や薬剤師は、患者の疾患のコントロールやQOLを高めるために、医薬品の飲みやすさや使いやすさ、使い続けられるための情報を収集し、服薬指導などを行なっています。

そのことを活かすためにも、患者自身が医薬品を指導されたとおりに正しく使うことは重要なのです。患者が服用した医薬品についての効果や副作用に関する情報は、医師や薬剤師を通じて製薬企業にフィードバックされます。

これらの情報を収集するために、製薬企業は「市販後調査(PMS)」を行なっています。PMSの情報をもとに、その医薬品についてさらに検討して改良を重ね、より効果があり、副作用の少ない新薬を開発することの参考にしています。

このように、安全で効果のある医薬品を患者に提供して治療の可能性を広げていくことは、製薬企業を始めとする医薬品を創る側の使命なのです。


製造販売後調査とは
医療品メーカーに義務づけられている調査
製造販売後調査とは、新薬が承認・発売された後の効果や副作用についての調査のことで、市販直後の調査は第4相試験(フェーズⅣ)とも呼ばれています。

治験時点での患者数は多くても1000名程度であり、市販後に処方される患者数と比較すると、はるかに少ないです。また、治験では併用薬を服用している患者などは除外されており、限定された患者にのみ投与されています。

しかし市販後は、さまざまな疾患、病歴、併用薬服用の患者に対して投与される可能性があり、その結果、治験からは予期できない副作用が発生する可能性もあります。

そのため、医薬品メーカーには、製造販売後調査を実施することが義務付けられているのです。 この調査により、開発段階では発見できなかった副作用だけではなく、適正な使い方に関する情報も収集できる。そして、これらの情報をもとに、薬の改良が行われています。その結果、治療の効率が上がったり、適応症が増えたりすることもあります。


製造販売後調査の内容
フェーズⅣに位置づけられる市販直後の調査には、使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験の大きく3つがあります。

使用成績調査では、患者の条件を定めることなく、副作用の発生状況や医薬品の品質、有効性、安全牝に関する情報の調査を行います。

特定使用成績調査では、治験では対象に含まれていなかった、小児、高齢者、妊産婦、腎機能障害、肝機能障害を有する患者、医薬品を長期に使用する患者における使用成績の調査を行います。 製造販売後臨床試験は、治験や使用成績調査の結果から得られた医薬品の有効性・安全性・品質に関する情報を検証するために実施する試験のことです。


社会へさまざまな形で貢献できることが魅力の医薬品業界
社会への貢献が働きがいにつながる業界
医薬品業界は、医薬品を通じて医療に貢献する、社会貢献度の高い業界です。医薬品によって、医薬品業界従事者は疾患の治療や症状の緩和をしたり、手術を減らしたり、入院を減らしたりするなど、患者のQOLの向上へ貢献します。

一方で、健康を害して日常の生活を送れなくなる疾患を予防するワクチンなどによって、疾患を未然に防いで健康を維持し、感染症の蔓延による社会的損失、入院によって損なわれる労働力低下などを未然に防ぐ経済的な貢献もします。

そしてまた、治療が困難な難病や、現在の治療法では多額の治療費がかかる疾患に対して、画期的な新薬を発売することよって、早期に改善してほしいとの社会からの期待も存在します。


景気に左右されない
一般的に、医薬品業界は景気の浮き沈みに左右されません。医薬品を通じて医療へ貢献していることから、生命関連性が高く、公共性の高い業界であるといえます。

また、医薬品は薬事関係法規により開発・製造・流通・販売・選択・使用の各段階において厳しく規制されている業界なので、参入障壁が高く、他業界からの進出は容易ではありません。

医療用の医薬品に関しては、薬価基準制度によって価格への規制を受けていますし、診療報酬や調剤報酬によって、提供される医療サービスに関しても価格が決められているため、低価格競争などで収益が大きく変動することが少ない業界といえます。


多品種少量生産の省資源型製品
医薬品は、「大量生産・大量消費」製品ではありません。疾患の種類や症状は千差万別であり、その原因も多様であり、不明なものまで存在します。医薬品は個人のニーズに応えなければなりませんから、「多品種少量生産・適量消費」という省資源型の性質を持っています。
医薬品としての必要量もmgやμg単位であり、投与方法も飲み薬なのか、貼り薬なのか、注射薬なのかなど、多種多様に用意する必要があります。


知識集約型の業界
医薬品業界従事者は、高度な知識と専門的な情報を医薬品への付加価値として生み出しています。医薬品には「モノ」としての価値もさることながら、「情報」としての価値も大きく関与しています。患者に難解な情報をわかりやすく伝えなければなりませんし、医薬品には劇薬や毒薬もあり、扱いを誤ると危険なので、医療従事者は成分や使用方法などの医薬品について多大な情報を持っています。

また、日々、新薬が開発されていますし、治療方法や医薬品を扱うための法律や制度も時代に合わせ変化していくものです。それらについていくために、医薬品業界従事者には常に学び続ける姿勢が必要なのです。
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